認知神経リハビリテーションはイタリアの神経科医カルロ・ペルフェッティ教授によって考案された最新のリハビリテーション体系です。この治療法が他の治療法と大きく異なる点は、脳(精神活動)と身体を別々のものではなくて、一つのものとして捉えている点です。私たちの行為は脳の様々な認知的機能に支えられています。例えばコップで水を飲む行為を考えてみましょう。喉が渇いたので水を飲もうという意図が生まれます。では水の入ったコップがどこにあるのか、水はどのくらい入っているのか、大きさは?素材はガラスなのか紙なのかなど、視覚的にとらえます。そして過去の経験の記憶からそれらを特定し、身体感覚で自分の手が今どこにあるのか、どのくらい手を伸ばせば届くか、どのくらい手を広げるか、力を入れるかなど判断して計画します。そして手を伸ばす距離や方向・重さは予測と合っていたか検討され、間違っていれば修正されます。このように刻々と変わる状況に合わせ、運動イメージを予測的に創り出しながら行為を行っているのです。また同じ握るという行為でも恋人や孫など愛しい人の手を繋ぐのとでは、まったく違ったものとなります。感情も運動に大きく影響を及ぼすのです。このように認知神経リハビリテーションでは筋力や関節運動、反射活動のみを対象とするのではなく、人間に備わっている認知過程(注意・記憶・言語・意識・運動イメージなど)を活性化することで身体を組織化する能力を学習し、運動を改変していくのです。
 訓練は身体を使った問題に対し、認知過程を働かせながら考え、解答するという形をとります。そのための様々な治療道具が考案されています。

治療で使用する道具の一例をご紹介します。
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 従来のようにただやみくもにできない動作を反復して練習するのではなく、リハビリテーション専門家に導かれて、脳が持っている集中力と思考力を使ってじっくりと自分の身体を感じながら認知問題を解き、学習していきます。最新の脳科学は、脳の持つ学習能力について数多くのことを解明してきました。そしてそれをリハビリテーションに応用しようというのが認知神経リハビリテーションなのです。

  • 機能の維持や体力の維持ではなく、機能の回復を目指したい。
  • もう少し手が使えるようになりたい。
  • 杖や装具を使えばなんとか歩けるが、もう少し上手に・楽に歩けるようになりたい。
  • 自分の手足がどうなっているかわからないので、身体の感覚を再び取り戻したい。
  • 痛みやしびれ、違和感をどうにかしたい。

 脳卒中の後遺症状だけでなく、骨折や関節手術後の後遺症状のある方も対象になります。その他の疾患についてもご相談ください。