リハビリテーション部
理学療法
理学療法(PT)では、可能な限り自立した日常生活が送れるように「基本動作能力」の改善に取り組みます。
基本動作能力とは、寝返り・起き上がり・車いすの操作や駆動・歩行などを指します。
そのために、筋力増強運動、動作練習、歩行練習などを行います。
その中で、痛みや関節のこわばりに対しては、温熱治療やマッサージを併用することがあります。
また、運動機能の低下に対しては、補助器具(装具・電気治療器など)を使用しながら実施する場合もあります。
安全な移動ができるように、杖や歩行器、車いすのタイプを検討することや、生活場所の環境整備などを併せて実施します。
退院後の生活でできるだけ自立した生活を継続するために、自主トレーニング指導や、ご家族への介助の指導を行う事もあります。
当院の理学療法の特徴
01可能な限り早期からの練習
当院ではマンツーマンを基本としています。
患者さんそれぞれで方針が違いますので、症状やお体の具合に合わせて練習内容や量を調整します。まだ十分に立つことができない状態であっても、起立台や平行棒などを使用して立つ練習を開始します。安全に練習ができるように、理学療法士の介助をうけながら歩行練習をします。
02広く開放的な
リハビリテーション
センター
1Fと4Fにそれぞれ広いリハビリテーションセンターがあります。
他の患者さんとの距離を広く保ち、ゆったりした空間で運動に取り組むことができます。
理学療法に必要な多数の物品を揃えています。
03充実した福祉用具・装具
当院では、様々な種類・サイズの装具を取り揃えています。
お体の状態により装具の作製が必要な場合でも、備品で事前に使用感を試すことができます。
義足や装具につきましては、医師や理学療法士のみではなく、専門の義肢装具士に来院いただいて、皆でより良い種類や使い心地を検討します。歩行補助具としましても、様々なタイプの杖・歩行器を取り揃えています。
04屋外歩行コース
退院した後には、屋内に閉じこもることなく自信をもって屋外を移動できる必要があります。
当院では、状態に応じて早期から屋外での運動を開始します。
往復400mの屋外歩行コース「倉リハ小道」を整備しています。
コースの途中には休憩スペースを用意しています。
また、四季の花をご覧いただけます。
05最新機器を用いた
リハビリテーション
当院では、機能回復を促進するエビデンスの高いとされる機器を積極的に取り入れて運用をしています。
吊り下げトレッドミル
安全ベルトで吊るされた状態で歩行練習を行います。下肢の筋力が著しく低下している場合でも、身体を支える重みを軽減させることや、足の振り出しを補助できるため、安全に反復した練習が可能です。
低周波
電気の力で、筋肉の動きをサポートします。当院の低周波治療器は、ご自身の動くタイミングにあわせた通電が可能な機器です。電気のサポートをうけながら手足の練習をします。
自転車エルゴメーター
サドルをまたぐことができない方でもペダリング運動ができるタイプも揃えています。歩くことが不十分な時期から、両足交互の屈伸運動が可能です。
06各種専門資格を持った
理学療法士
当院の理学療法士は、様々な資格取得や学会発表などに挑戦し、自己研鑽に努めています。
各種認定資格
※2024年8月現在(人数は重複あり)
回復期セラピスト マネージャー |
1名 |
---|---|
介護支援専門員 | 1名 |
3学会合同呼吸療法認定士 | 7名 |
日本義肢装具学会認定士 | 1名 |
リハビリテーション 栄養指導士 |
1名 |
NST専門療法士 | 1名 |
認知症ケア専門士 | 1名 |
認知症ライフパートナー | 1級 : 1名 2級 : 5名 |
シニア福祉アドバイザー | 1名 |
ロコモコーディネーター | 3名 |
---|---|
福祉住環境コーディネーター | 2級 : 10名 3級 : 1名 |
フレイル対策推進 マネージャー |
1名 |
地域ケア推進リーダー | 1名 |
介護予防推進リーダー | 2名 |
両立支援コーディネーター | 1名 |
AHA BLSプロバイダー | 1名 |
パラスポーツトレーナー | 1名 |
パラスポーツ指導員 | 上級 : 1名 中級 : 1名 |
日本理学療法士協会
理学療法士協会指定管理者 | 上級 : 2名 初級 : 1名 |
---|---|
登録理学療法士 | 14名 |
認定理学療法士 | 脳卒中 : 5名 運動器 : 1名 |
※登録理学療法士とは
日本理学療法士協会が実施する、指定された研修を修了させた理学療法士です。
研修は前期と後期に分かれており、最低5年の研修期間が必要です。
※認定理学療法士とは
登録理学療法士の資格を取得した上で、申請に必要な要件をみたし、認定試験に合格する必要があります。
臨床実習指導者講習会
臨床実習指導者講習会修了者 | 9名 |
---|
※うち1名は、PT・OT・ST養成施設教員等講習修了
作業療法
作業療法(OT)では、病気やけがなどによって、日常生活動作(食事・整容・更衣・トイレ・入浴)や手段的日常生活動作(家事動作や金銭管理、服薬管理など)、 社会参加(復職、自動車運転など)が難しくなっている患者さんを対象に、こころと身体の働きを回復するための手段として「作業」を用いて行います。
当院の作業療法の特徴
その人が、その人らしく、生活できることを目指して、一人ひとりに寄り添って作業療法を行います。
上肢リハビリロボット(ReoGo-J)や電気刺激装置(エスパージ、IVES)などの治療機器を導入しており上肢機能の改善に力を入れています。
また、日常生活動作(食事・整容・排泄・更衣・入浴)の改善に加えて、自宅での役割の再獲得、自動車運転の再開支援や復職にも力を入れています。
病棟での訓練やADLシミュレーターを使用した模擬練習、ADL室での家事動作訓練(調理、洗濯、掃除など)に加えて社会参加を促すため、自動車運転の再開支援や復職に向けた高次脳機能訓練を行っています。
01日常生活活動の支援
食事
実際に、病棟での食事動作の評価を実施し、その方にあった訓練や自助具の作成などを行います。
更衣
脳卒中後の後遺症である片麻痺や高次脳機能障害、骨折などで着替えに介助が必要になることがあります。 身体の使い方や動作手順の指導、自助具を使用した練習などを行います。 また、服の素材や大きさ、形状など服選びのアドバイスも行います。
トイレ
排泄は、移乗能力だけでなく、車いすや歩行補助具の操作やドアの開閉、立位での下衣操作など、一連の動作の獲得が必要です。 自立度評価表を用いて、多職種で排泄の自立度を評価し、安全に移乗やトイレ動作を行えるよう支援しています。
入浴
入浴は自立が難しい動作の一つです。お体の状態にあわせて、複数のタイプの浴室を用意しています。退院後の入浴方法について、作業療法士が看護師・介護士と連携して、実際の入浴動作を評価します。 洗体や清拭、浴槽移乗動作の練習を行います。能力に合わせて、段階的に使用する浴室や介助方法を検討し、自立を目指します。
02上肢の機能再獲得に
向けた取り組み
当院では、機能回復を促進するエビデンスが高いとされる治療法や治療機器を積極的に取り入れて運用しています。
促通反復療法と電気治療の併用
促通反復療法とは麻痺した手や足に治療者が促通操作を行い、患者さんに意図した運動(随意運動)を実現・反復し、その反復で大脳から脊髄までの神経回路を再建・強化する治療法です。 「脳卒中ガイドライン」でも脳卒中に対する効果的なリハビリテーションとして推奨されています。 持続的電気刺激や振動刺激との併用を行なうと、より効果的な治療となります。 当院には鹿児島大学霧島リハビリテーション病院で研修を行ったスタッフが在籍しており、定期的に研修会にも参加しています。
電気治療・低周波治療機器
(エスパージ)
麻痺が重度の場合、随意的な動きが困難となり目的とした動作が困難な場合があります。 当院では随意運動介助型電気刺激装置(IVES)や低周波治療機器(エスパージ)を併用した上肢機能訓練を実施しています。 患者さんの状態に合わせてモードを切り替え、目的とした動きを補助し、課題の遂行を助けることで目的志向型の運動を促していきます。
随意運動介助型電気刺激装置
(IVES)
脳や脊髄の疾患により上肢・手指の関節が動かしにくい方の治療として導入しています。 IVESでは、手を動かそうとするのを機械が感知して、それに応じたタイミングと強さの電気刺激ができます。この電気刺激によるアシストをうけながら訓練ができます。
能動的上肢用他動運動訓練装置(ReoGo-J)
ReoGo-Jの特徴として、患者さんの上肢機能に応じた難易度でリーチ動作ができること、2次元・3次元の訓練機能を搭載していることで、上肢近位部(肩関節、肘関節、前腕)に働きかけます。 当院では、作業療法士の評価・指導のもとで安全に実施可能で、リハビリテーションセンターまでの移動が自立した患者さんには自主トレーニングとして積極的に活用することで、上肢を動かす機会を増やします。
03入院前の役割の再獲得、または新しい役割の獲得に向けた訓練
日常生活動作は、退院後の実際の環境に近い状況で練習することが好ましいです。 浴室やトイレのシミュレーションを行う部屋や、小上がりの和室、キッチンなどがあります。練習の一環として実際の調理に取り組むこともあります。
調理動作訓練
洗濯動作訓練
掃除動作訓練
ADLシミュレーター
ADLシミュレーターでは、自宅をイメージしたレイアウトでの練習ができます。 また、家屋改修でどこに手すりを設置すればよいかを想定することができます。 ご家族への介助指導も行っており、シャワー用の椅子や浴槽台、滑り止めマットの必要性の有無などもアドバイスをします。
職業訓練
パソコンのタイピングやマウスの操作、書字練習、書類整理、製品加工作業などを行います。
人によっては脳の障害により、計画を立てること、時間通りに課題を遂行することなどが難しくなることがあります。具体的な課題を見つけ、問題点への直接的なアプローチや、代償手段の検討をします。
04各種専門資格をもった
作業療法士
当院の作業療法士は、様々な資格取得や学会発表などに挑戦し自己研鑽に努めています。
各種認定資格
※2024年10月現在(人数は重複あり)
介護支援専門員 | 1名 |
---|---|
認知症ライフパートナー 2級 | 1名 |
福祉住環境コーディネーター 2級 | 7名 |
福祉用具プランナー | 1名 |
FIM基礎講習受講者 | 17名 |
FIM応用講習受講者 | 4名 |
促通反復療法(川平法)受講者 | 5名 |
AMPS認定評価者 | 1名 |
ホームヘルパー2級 | 1名 |
間歇導尿指導認定セミナー初級 | 1名 |
臨床実習指導者講習会
臨床実習指導者講習会修了者 | 11名 |
---|
言語聴覚療法
言語聴覚療法(ST)では病気や事故などによって起こるコミュニケーション・食事の困難さがある方に対して、専門的な評価・訓練・助言・援助を行います。本人・家族の希望に合わせた社会参加を目指したプログラムに取り組みます。
余暇時間の活動として、自主課題や病棟スタッフとの練習、ご家族との練習を提案します。
退院後の生活に向けて、自主トレーニングや家族への介護指導、退院後の連携職種への情報提供を行います。
職場復帰や自動車運転再開などで、入院中に不安を感じられる場合には、長期的なフォローを提案します。
当院の言語聴覚療法の特徴
01コミュニケーション方法・
食事などの早期環境調整
コミュニケーション方法(イラスト・写真などの指さし、基本情報の指さしができるカード・ノートなど)、安全に経口摂取していただける食品を設定し、入院中のストレスや誤嚥性肺炎などの軽減を図ります。
02専門的な評価・訓練と、
他職種との連携を通じた本人・ご家族の支援
コミュニケーション・高次脳機能に関しては各種評価バッテリーやJMS舌圧測定器など、摂食嚥下機能に関してはVF検査(嚥下造影検査)・VE検査(嚥下内視鏡検査)などを実施しています。
03患者さんの“思い”や“個別性”に配慮したプログラム
体調やストレスに配慮しつつ、前向きにリハビリに取り組んでいただけるよう、リハビリ内容を調整しています。
04早期からの退院後の生活に向けた準備
退院後の生活を想定したリハビリを通じ、退院予定が決定次第より具体的な自主トレーニングやご家族指導をチームで連携しながら進めます。
05通所リハビリや運転支援チームとの連携
退院後の言語聴覚療法および運転支援が必要であると主治医が判断した場合には、通所リハビリや運転支援チームと連携して長期的にフォローします。
06各種専門資格を持った言語聴覚士
当院の言語聴覚士は、様々な資格取得や学会発表などに挑戦し、自己研鑽に努めています。
資格所有一覧
※2024年8月現在(人数は重複あり)
認定言語聴覚士 (失語・高次脳機能障害領域) |
1人 |
---|---|
FIM基礎講習受講・FIM応用講習受講 | 12人 |
日本臨床学会2級 離床アドバイザー | 1人 |
停止車両評価インストラクター | 1人 |